・・・深い森の秘密
マレーシアの熱帯雨林の深い森のなかで、命がけで珍しい宝物を探している人たちがいます。高さ70メートルほどもある木の枝にぶら下がるこの宝。月明かりもない真っ暗な夜に、マレー半島で一番大きい自然の宝庫・パハン州の原住民オランアスリによって守られてきた手つかずの熱帯雨林を歩いて行くと、ようやく探していたこの木に出会うことができます。
それが、トアランの木です。
トアランの木は低地熱帯雨林に生育し、ほかの高い木々と同じように板根によってその重みを支えなければなりません。熱帯雨林の土の養分は地表にあるため、その根は地面の奥深くへは行かずに地面に広く根を張っています。このトアランの木の幹はなめらかで、枝葉が茂る林冠は頭上30メートルほどのところにあります。
熱帯雨林の森に棲むオオミツバチという警戒心が強く攻撃的な蜂の群れは、そういう木を好みます。なぜなら、彼らはほかの動物や天敵の手の届かない、高くて安全なところに巣を作るからです。トアランの木は蜜蜂に棲み家を与え、また蜜蜂はその木を伐採者から守ります。それは、オオミツバチが元の木から得られるものよりもさらに価値のあるものを生みだしてくれるからです。そして、この宝を探す人たちは約15センチの釘、松明、容器を携え、命がけでオオミツバチの生みだす“貴重なもの”を採るためにこの木に登ります。その宝とは・・・
そう、「トアラン蜂蜜」です。
オオミツバチは、普通の蜂の2倍の大きさもあり、巣から5キロ離れた場所まで飛ぶことができます。熱帯のジャングルに自生するさまざまな花やトアラン、クタパン、メダン、スラヤ、ムランティ、チュヌライなど180種類ともいわれる花の蜜を集めながら、森の50パーセントもの花々を受粉させるという大きな役割を果たしています。このようにして森じゅうの花の蜜を集めたオオミツバチによって生みだされた蜂蜜は、私たちにとって大変価値のあるものです。ひとつのオオミツバチの巣は、大きいもので2メートル近くにもなり、3~5万匹の蜂がそこへ蜜を集めにやってきます。1本のトアランの木に100個もの巣が作られ、一度に450キロの蜂蜜が採れることもあります。蜂が巣にためた蜂蜜は下へたまるほど色濃くなり、通常の蜂蜜よりも酸味が強く、後味に軽く刺激を感じるのがトアラン蜂蜜の特徴です。雨季・乾季によっても、その酸味度は変わってきます。
トアラン蜂蜜は栄養豊かで、人が日々生きていくために必要とする酵素やビタミン、ミネラル、アミノ酸、その他たくさんの栄養素が含まれており、とくに抗酸化に優れている蜂蜜といわれ、まさに“自然の恵み”そのものです。
しかしながら、ここマレーシアでも太古からの熱帯雨林が年々減少し、パーム椰子のプランテーションに置き換わっていくのを目の当たりにします。今後さらに経済発展が進み、それにともなって森林破壊が進んでいくのを食い止めるのは難しいことかもしれません。
私たちは、世界でも貴重な野生動植物や蜜蜂の棲むこの豊かな森が自然のままの姿でこの先もずっと残り、これからも私たちに豊かな恵みを与え続けてくれることを願いながら、
マレーシア熱帯雨林の宝物、「トアラン蜂蜜」をお届けしています。
参考ウエブサイト
http://healthywithhoney.com/tualang-honey-what-is-tualang-honey/